ESET、「2026年上半期脅威レポート」を公開~AI悪用の新フェーズ:悪意ある「AIエージェントスキル」3,000超を確認~

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巧妙化するサイバー脅威と、日本企業が講じるべき対処策を欧州最大のサイバーセキュリティベンダーが解説

サイバーセキュリティ分野のグローバルリーダーであるESET(本社:スロバキア)は、2025年12月から2026年5月までの最新のサイバー脅威動向をまとめた「ESET脅威レポート 2026年上半期版」を公開しました。

本レポートは、ESETテレメトリデータおよびESET脅威検出・研究チームの専門家の分析に基づき、世界および日本における最新のサイバー脅威の傾向を明らかにしたものです。日本企業が生成AIの活用やデジタル化(DX)を急速に進める中で、サイバー攻撃者が「技術への信頼」や「日常的な操作の慣れ」を悪用している実態を客観的なデータから明らかにしています。

期間中、AI悪用の新フェーズとして、指示に従って自律的にタスクを実行する「エージェント型AI」の普及に伴い、機能拡張プログラムである「AIエージェントスキル」の悪用リスクや、実行時に生成AIを利用する初のAndroidマルウェア「PromptSpy」が確認されました。また、日常の隙を突く攻撃として、「ClickFix」攻撃(偽CAPTCHA認証画面)や、「クイッシング」(QRコードを悪用したフィッシング)の急増などについても解説しています。

最新のESET脅威レポート2026年上半期版はこちらからご覧ください。

レポートの主なポイント

  1. AI悪用の新フェーズ
    ①悪意あるAIエージェントスキルを3,000超確認
    ②実行時に生成AIを利用する初のAndroidマルウェア「PromptSpy」
  2. 日常の隙を突く攻撃
    ①過去最高水準の「クイッシング」(QRコードを悪用したフィッシング)
    ②日本での検知数が世界最多となった「ClickFix」(偽CAPTCHA認証画面)

 

1.AI悪用の新フェーズ

①悪意あるAIエージェントスキルを3,000超確認
タスクを自律的に実行する「エージェント型AI」の普及に伴い、機能拡張プログラムである「AIスキル」の不審・悪質な事例が急増し、新たな攻撃対象領域となっています。

  • ESETが確認した脅威:主要リポジトリのAIスキル約90万を分析したところ、約2万5,000が不審、3,000超が悪意あるものと判明しました。データ流出やマルウェア実行のほか、挙動を変化させる可能性のある自己改変型スキルや決済権限を悪用する事例も確認されています。
  • 日本企業にとっての重要性:社内での業務効率化や自動化推進に伴いAIエージェントの利用が広がる中、外部ライブラリや追加スキルに潜むサプライチェーンリスクが直近の脅威として浮上していることを示しています。経済産業省もAIエージェント導入企業向けガイドラインの策定を進めています。
  • 推奨される対応:AIモデルや追加スキルの開発元やデータ処理手順を把握し、技術とルールの両面で適切なAIガバナンス体制を整備するとともに、AIに提供する情報やアウトプットの評価が重要です。

②実行時に生成AIを利用する初のAndroidマルウェア「PromptSpy」
マルウェアの実行フローにおいて生成AI(LLM)を能動的に呼び出し、端末環境に応じて動的に動作を変化させる高度な攻撃手法が登場しました。

  • ESETが確認した脅威:実行時にGoogleの生成AI「Gemini」へ画面構成情報を送信し、返答された指示に基づいて画面操作を実行する初のAndroidマルウェア「PromptSpy」を発見しました。ハードコードされた処理に頼らず、端末ごとの違いに適応して持続性を確保します。
  • 日本企業にとっての重要性:従来型の固定された検出ルールを突破しやすく、環境適応型の自動化攻撃が容易になる懸念があります。IPAの「10大脅威」でもスマートフォンを狙う不正アプリが長年選定されており、特に個人所有端末の業務利用(BYOD)には注意が必要です。
  • 推奨される対応:公式ストア以外からのアプリインストールを避け、アプリ起動時の権限設定を厳格に管理するとともに、モバイル端末向けのセキュリティ対策ソリューションの導入が有効です。

 

2.日常の隙を突く脅威

①過去最高水準の「クイッシング」(QRコードを悪用したフィッシング)
日常的に利用されるQRコードに悪意あるURLを埋め込むフィッシング攻撃(クイッシング)が世界的に増加し、過去最高レベルの検知数を記録しました。

  • ESETが確認した脅威:2026年上半期に検出されたフィッシングメールの約11%がクイッシングで、月平均10万件を検知しました(4月にピーク)。給与明細や福利厚生案内など、社内通知を装う手口が目立ちます。
  • 日本企業にとっての重要性:コード決済の普及やレストランでの注文やWeb手続きなどデジタル化が進み、利用者がQRコードの読み取りに疑いを持ちにくい心理的隙が生じています。画面が小さく、セキュリティ対策が手薄になりがちなモバイル端末が侵入の起点になるリスクがあります。
  • 推奨される対応:クリック前に表示先のURLを確認するとともに、万が一不正サイトなどに遷移した場合に検知するセキュリティソリューションの導入を推奨します。メール内のQRコード画像解析や不正URLアクセス制御に対応した多層防御ソリューションを導入する必要があります。

②日本での検知数が世界最多となった「ClickFix」(偽CAPTCHA認証画面)
偽のエラー画面や画面トラブルを装い、利用者に自ら悪意あるコマンドを実行させるソーシャルエンジニアリング「ClickFix」が急増しており、日本が最大の標的となっています。

  • ESETが確認した脅威:ClickFix攻撃の検知数が前期比で108%増加し、国別検知数では日本が全体の14%を占めて世界最多でした。人気AIサービスの正規ドメインを悪用した「AI-fix」や、認証トークンを盗み出す「ConsentFix」など手口も進歩しています。
  • 日本企業にとっての重要性:「トラブルを急いで解決したい」という心理や、日常的に行っているクラウドサービスへのサインインにつけ込まれています。パスワードや多要素認証(MFA)をすり抜けてアカウントを乗っ取られる危険性があります。
  • 推奨される対応:偽警告や誘導指示に従って不用意にコマンドをコピー&ペーストしないよう、社内への周知徹底と継続的なセキュリティ教育を実施することが極めて有効です。

その他の注目すべきサイバー脅威動向

このほか、本レポートではランサムウェアの身代金支払い率低下(28%)の一方での攻撃増加、防御ソフトを無効化する「EDRキラー」の悪用継続、犯罪グループ間の対立激化などの動向についても報告しています。

イーセットジャパン株式会社 シニアセキュリティモニタリングアナリスト 佐島 隆博のコメント

「今回のレポートは、サイバー攻撃が必ずしも高度で複雑な手法によって実現されているわけではないことを改めて示しています。攻撃者は、過去に有効性が証明された手法を継続的に利用しながら、対象や環境に合わせて柔軟に応用しています。

特に注目すべきはAIを取り巻く変化です。攻撃者はAIを攻撃の効率化に利用するだけでなく、企業が利用するAIシステムそのものにも関心を向けています。企業のデジタル化やAI活用が進むほど、攻撃者もそれに合わせて攻撃対象や手法を変化させていくでしょう。

そのような環境において企業が備えるべきことは、単一の製品や技術に依存することではなく、継続的な監視、迅速な対応、そして防御体制全体の強化です。攻撃者の進化を前提としたレジリエントなセキュリティ戦略が、今後ますます重要になると考えています。」

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ESETについて

ESETは、企業や社会インフラ、そして個人ユーザーを保護し、AI活用が進むデジタル社会において、より高いレジリエンス(回復力)と信頼の実現を支援するグローバルなサイバーセキュリティ企業です。35年以上にわたるサイバーセキュリティの知見、25年以上に及ぶAI技術の研究開発実績、11カ所のグローバルR&Dセンターを基盤に、進化するサイバー脅威への対策とAIエコシステム全体の安全性向上に貢献する独自技術を開発しています。科学的根拠に基づく先進的かつ予防的なアプローチのもと、専門家による監督を維持しながら、シンプルで高い保護性能を提供しています。EUに本社を置く非上場の独立系企業として、世界178の国と地域で数百万のユーザーおよび50万以上の組織を保護しています。ESETは、責任あるAIの活用とお客様からの信頼を重視し、テクノロジーがもたらす成長と発展を支えています。詳細は、イーセットジャパンのウェブサイトwww.eset.com/jpをご覧ください。また、イーセットジャパンのソーシャルメディアでフォローしてください。