
ESET(本社:スロバキア)は、2024年10月から2025年3月にかけて観測・分析した高度持続的脅威(APT)グループの活動をまとめた最新の「APT活動レポート」を公開しました。本レポートでは、ロシア、中国、北朝鮮、イランに関連するAPT(Advanced Persistent Threat:持続的標的型攻撃)グループが世界各地で展開するサイバー攻撃の実態とその進化を明らかにしています。
日本を標的としたAPT-C-60 の攻撃
2025年2月、日本からセキュリティ分析プラットフォーム「VirusTotal」にアップロードされたVHDXファイルに、悪意のあるショートカットと暗号化されたダウンローダーが発見されました。ESETはこのダウンローダーを「RadialAgent」と命名し、韓国とつながりのあるサイバースパイグループ「APT-C-60*」の専用マルウェアであると特定しました。
この攻撃では、「メールリスト.rtf」や「会社系.rtf」など、日本人の関心を引くようなファイル名が巧妙に利用されており、特に「メールリスト.rtf」には、過去にハッカー集団Anonymous(アノニマス)がリークした在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)の構成員3,667名のリストが含まれていたことが判明しました。これは、APT-C-60が北朝鮮と関係のある日本国内の個人や団体を標的にしている可能性を示唆しています。
世界各地で活発化するAPTグループの動向
ESETの最新APT活動レポートでは、以下のような国家支援型APTグループの動向も紹介しています。
- 中国系グループ:Mustang PandaやDigitalRecyclersは、欧州の政府機関や海運企業を標的に、Korplugローダーや悪意のあるUSBドライブ、匿名化VPNを駆使した攻撃を継続しています。
- イラン系グループ:MuddyWaterがRMM(リモート監視・管理)ソフトを悪用し、Lyceumと連携してイスラエルの製造業を標的にしています。CyberToufanは破壊的なワイパー攻撃を展開しています。
- 北朝鮮系グループ:DeceptiveDevelopmentは、偽の求人情報を利用して暗号通貨関連企業を標的に、マルチプラットフォーム対応のマルウェアWeaselStoreを配信しています。
- ロシア系グループ:SednitやGamaredonは、ウクライナおよび欧州諸国を標的としたゼロデイ脆弱性の悪用やワイパー型マルウェアの展開を強化しています。特にSandwormは、ウクライナのエネルギーインフラを狙い、新たなワイパー「ZEROLOT」を使用しています。
ESETは、これらの活動が国家レベルの支援を受けたサイバー攻撃である可能性が高いとし、各国の政府機関や企業に対して、より一層の警戒と対策の強化を呼びかけています。
ESETの脅威リサーチディレクターであるJean-Ian Boutin(ジャン-イアン・ブティン)は次のように述べています。「本レポートで紹介しているのは、ESETが観測した脅威のほんの一部にすぎません。これらは、現在のサイバー脅威の主要なトレンドと進化を示す代表的な事例です。」
ESETは、自社のテレメトリデータに基づき、専門家によって検証・分析された高品質な脅威インテリジェンスを提供しています。これらの情報は、国家インフラや重要資産を守るための戦術的・戦略的な意思決定に貢献します。
ESET APT活動のフルレポートおよびESET脅威インテリジェンスに関する詳細は、こちらをご覧ください。
*APT-C-60は、韓国を拠点とするサイバー諜報グループであると広く認識されています。2018年頃から活動が確認されており、主に東アジア諸国(特に日本、韓国、中国)の組織を標的としています。
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